KIRINJIや折坂悠太のCD/レコードジャケットを手がけ、絵画を中心に立体、写真、映像などを織り交ぜた作品を発表してきた五月女哲平さんによる、「Teppei Soutome showcase」を開催。スモールエキシビジョンでは、ガラスケースという限られた空間の中で、文具や小物ほどのサイズの作品が心地よく、そして軽やかに配置されていく様を、展示を通してご覧いただけます。また、開催記念として、五月女哲平さんが描いたイラストを配したロルバーン ポケット付メモLを販売します。
― いつ頃から作品作りをはじめましたか?またきっかけはありましたか?
画家であった祖父と父の姿を見ていたことが一番のきっかけだと思います。「これは作品と呼べるかも知れない」と思えるものが作れるようになったのは、ほんのここ数年のことだと思います。それ位、美大の学生時代や作家と名乗りはじめたばかりの頃は「作品のような何か」「作品以前の何か」を延々と手探りしながら形にしていただけとも言えるような気がします。そのような分類出来ないモノの中に面白いものが含まれていることは多々あるわけですが。
― 作品を制作しはじめた頃と今、どのように変化してきましたか?
学生時代は作品、人間性ともに、内向的なものになっていたような気がします。美術大学全般に言えることかも知れませんが、僕がいた大学は大変長閑な山の麓にあって、環境が良いとも言える一方で、外部(≒社会)との接続が簡単にはいかないので、どうしても独りよがりなものにはなってしまいがちです。そういった意味では、大学を出てから得られた様々な出会いや経験、又は作品が置かれる多様な状況を通過することで、「何か」から少しづつ「作品」となっていったのではないでしょうか。
― 今回の展示のコンセプトを教えてください。
散らかった机の上を整理する時、使い勝手や利便性を超えた、ある種の〝心地よさ〟のようなものによって物の配置が決まることがあります。これは、展覧会の際に作品を配置し決定する時の直感みたいなものと実はあまり変わらないのではないかと。意味性だけではない、非常に抽象的であり、尚且つ必然性を持ち得る判断力です。ガラスケースという、机のように限られた空間の中で、文具や小物ほどのサイズの作品が心地よく、そして軽やかに配置されていくような展示になっていれば良いなと思います。
― 最近ハマっているもの(こと)は何ですか?
コロナウイルスの影響で、メインのスタジオでもある栃木の実家で過ごす時間が長くなり、煮詰まったり気持ちの入れ替えが必要な時には車でドライブに行っています。川を欲していればあの場所、空が見たければあの場所、山を眺めたければあの場所…。何かを補うように自然に触れることが増えました。結果的に、今まで知っているつもりでいた身近な場所や地域について考え、色々な視点から見つめ直す機会になっています。
― 仕事などで、普段使っている道具(文具)を教えてください。
最近使うようになったのはiPad。PCも出来るだけ触れたくない、超が付くほどのアナログ人間ですが、Apple Pencilが登場してからは重宝しています。瞬時に必要な情報を確認しつつイメージを作ることが出来るのはやはり助かります。僕のようなアナログ人間が言う位なので、流石に良く出来ているんでしょうね。とはいえ、やはり基本的には紙とペンは外せません。昔から今も使い続けているペンはLAMYのボールペン、マッキーの油性ペン、ステッドラーの鉛筆。紙はスケッチブックに限らず、メモやチラシの裏、レシートなど、隙間が空いているものであれば何でも使います。
― 今回ロルバーンとのコラボをお願いしましたが、ロルバーンはご存知でしたか?
用事は無くても文房具屋さんに行くのが好きで、気付かぬうちに買って使っていました。個人的には、豊富なカラーバリエーション、程よいサイズ感と丸みがあるところが気に入っています。また、グリッドが非常に使いやすくて、ドローイングやエスキース制作にも便利です。
― 今後の予定を教えてください。
このコロナ禍で蓄えたものを、一つ一つ整理しながら、考えるべき課題を見つけていきたい。偶然にもここ数ヶ月、東京以外で作品を発表する機会が増えてきました。これもまた、コロナ後の新しい可能性を見出すために与えられたチャンスだと思うので、しっかりと踏みしめながら展開していきたいです。
プロフィール
五月女哲平 プロフィール
1980年栃木県生まれ。2005年東京造形大学美術学部絵画科卒業。 主な個展に、2020年「our time」(青山|目黒、nadiff apartment、void+、東京)2018年「絵と、 」[キュレーター:蔵屋美香] (gallery αM、東京)、2017年「犠牲の色、積層の絵画」(青山目黒、東京)、2011年「猫と土星」(小山市立車屋美術館、栃木県)、2008年「箱の中の光について」(Mont-Blanc銀座、東京)など。 主なグループ展に2019年「Olaph the Oxman」(C Ø P P E R F I E L D、ロンドン)、2019年「MOTコレクション 第2期 ただいま / はじめまして」(東京都現代美術、東京)、2017年「裏声で歌へ」[企画:遠藤水城](小山市立車屋美術館、栃木)、2016年「囚われ、脱獄、囚われ、脱獄」(駒込倉庫、東京)、2015年「引込線 2015」(旧所沢市立第2学校給食センター、埼玉)、2014年「絵画の在りか」(東京オペラシティアートギャラリー、東京)、2013年「マンハッタンの太陽」(栃木県立美術館、栃木)、2013年「ダイ・チュウ・ショー」(府中市美術館、東京)、2012年「VOCA展 2012 」(上野の森美術館、東京)、2012年「リアル・ジャパネスク」国立国際美術館、大阪)など多数。
開催日 2020/11/10(火)〜12/7(月)
場所 デルフォニックス 渋谷
東京都渋谷区宇田川町15番1号 渋谷パルコ4F
問合せ デルフォニックス 渋谷(03-6809-0721)
営業時間 11:00-21:00 ※(最終日は15:00まで )
※新型コロナウイルス感染拡大による対応のため、
営業時間については変更になる場合がございます。
予めご了承ください。
デルフォニックス 渋谷に内設する「ロルバーン ショップ&ギャラリー」と、ロルバーンとの新しい出会いを提供する「ロルバーンエキスポ」の特設サイトが連動。店頭では、さまざまな文化を切り取ったスモールエキシビションを。特設サイトでは、展示内容を小さな記事にしてアーカイブしていきます。
2020.11.9