第4回ロルバーン ギャラリーでは、ステーショナリーディレクター・土橋正さんによる『心地よく仕事をするための文具・道具』をテーマとした、スモールエキシビジョンを開催します。
—今回のスモールエキシビジョンのコンセプトを教えてください。
この美術学校は1950年代から1960年代にかけて、ドイツにおけるデザイン教育の中心地となり、アイヒャーは理論と実践によりヴィジュアル・コミュニケーション・デザイン(視覚伝達デザイン)の概念と具体的な方向を打ち出しました。
また、1972年に開催されたミュンヘン・オリンピックのデザインチームのリーダーとして、トータルデザインを指揮。この時にアイヒャーにより確立されたピクトグラムが、現在の公共標識でも広く使われています。
ポスターやパンフレット、地図などの紙ものから、ユニホーム、ピクトグラム、スタジアムのサインや座席の色まで、アイヒャーの指揮のもと、制作が行われた1972年に開催されたミュンヘン・オリンピック。
1936年に開催されたナチス政権下でのベルリン・オリンピックから約四半世紀後に行われたミュンヘン・オリンピックでは、ナチス政権支配の反省を活かし、若き民主主義の国の精神を体現することが求められ、アイヒャーは作成したガイドラインで「元気よく、明るく、ダイナミックで、政治色を排し、感傷には浸らず、イデオロギーもない、遊び心あふれるスポーツと文化のゲーム」を目指しました。
統一したコンセプト、フォーマット、グリッドに基づいて作り上げられた製作物は、色数を限定し、すべてを記号化、書体もユニバースというフォントで統一しました。また、ドイツ・アルプスの四季の色などを反映したカラーパレットを設定して、オリンピックに関わるあらゆるデザイン要素を厳格にコントロール。
その中で、カラーパレットとグリッドで厳密に定義された、Waldi(ヴァルディ)いう名前のダックスフントをマスコットに設定。オリンピックにマスコットを採用したのもアイヒャーが初めてでした。
世界中の誰もがわかるサイン「ピクトグラム」。丸や直線など同じ要素をシステマチックに組み合わせて作る、明瞭かつ効率的で、統一性もあるサインです。
1964年の東京オリンピックにあわせて、日本のグラフィックデザイナー・勝見勝が考案し、これをベースに、ミュンヘン・オリンピックでより洗練したピクトグラムをアイヒャーが発表。
それまでの大会のピクトグラムは、競技などを単純に記号化したに過ぎませんでしたが、ミュンヘン・オリンピックでは直線・円、水平・垂直・45度と厳密な規定で整理され、これ以降のオリンピックや、公共機関のピクトグラムの基準となりました。
グリッド・システムを用いたロルバーンの文字デザインには、ドイツ語を採用。いつ見ても飽きない、時代に消費されないデザインを目指して考案されました。
そのロルバーンの表紙デザインの中に、アイヒャーが指揮をとったミュンヘン・オリンピックのグラフィックデザインに、共鳴したと感じられるものがあります。
ロルバーンは、過去に積み上げてきた様々なデザインをベースにしつつも、常に新しいものを取り入れ、日々進化し続けています。
開催日 2020/1/28(火)~2020/2/25(火)
場所 デルフォニックス 渋谷
東京都渋谷区宇田川町15番1号 渋谷パルコ4F
問合せ デルフォニックス 渋谷(03-6809-0721)
営業時間 10:00-21:00 ※最終日は19時まで
デルフォニックス 渋谷に内設する「ロルバーン ショップ&ギャラリー」と、ロルバーンとの新しい出会いを提供する「ロルバーンエキスポ」の特設サイトが連動。店頭では、さまざまな文化を切り取ったスモールエキシビションを。特設サイトでは、展示内容を小さな記事にしてアーカイブしていきます。
2020.1.24